囲炉裏端から

主として趣味に関わる様々な話題を、折に触れてエッセイや紀行文の形で自由に書いてゆこうと思っています。過去に書いた文章も適宜載せてゆきたいと考えています。

 昨日久し振りでツーリングに行って来ました。道民の森(神居尻地区)のミズナラの巨木を見るためです。一年振りの「出会ひ」に感動しました。圧倒されました!推定樹齢450年の「御神木」(といふ言葉が一番合ってゐると思ひます)の何といふ神々しさ!ただただ頭を垂れ、素直に手を合はせるしかありませんでした。
 思へば、450年前と言へば何と未だ「織田信長、武田信玄、上杉謙信」が生きて戦ってゐた時代なのです!信じられぬ気がします。不思議な気がします。気が遠くなりさうなほどです。その時、この巨木は一個の小さな種だったのです!それから450年、この木は一体どれほど多くのものを見、聞き、「経験」して来たのでせうか・・・生命の神秘に打たれます。
 何種類もの木を着床させてゐる巨大な幹、人間の胴体ほどもあるその太い枝、数へ切れぬほど多数の小枝、文字どほり無数の葉、生き生きとした緑の葉・・・それに引きかへ、この木の下に佇み、仰ぎ見る 我々人間のこの小ささ、はかなさ・・・
 夕暮れの気配が濃くなりつつある頃、名残を惜しみつつ、余韻に浸りながら、ゆつくりとバイクを走らせ、家路を辿りました。  

 今日の森林公園はライラックの香りに包まれてゐました。北海道も初夏の装ひです。

-木の舟、鐵の馬  第三部- 
(14)

 
千歳の驛に着く。丁重に礼を言つて別れる。丁度五時二十分發の札幌行きに間に合ふ。結局、着替える暇がなく、カヌ-ウェアのまま汽車に乘る。靴さへも履き變へてゐない。カヌ-シュ-ズが我ながらをかしい。邪魔にならぬ所にカヌ-を置き、座席に座つて、やうやくほつとする。と、身軆中がだるい。さう言へば、さつきの階段も随分きつかつた。疲れが急に出る。眠い。今日一日を思ひ出すうちに、うとうとする・・・どうやら今日も何とか無事に終はつたやうだ・・・今度こそ歸らう・・・

 

 今日は快晴。森林公園へ藤の花を見に行って来ました。間もなく満開といふ感じでとても綺麗でした。

-木の舟、鐵の馬  第三部- (13)
 
 (6)歸宅

                                 

 バ-ドセンタ-(?)らしき建物が見える。ホテル(或いはユ-スホステルか)のやうなものに近づく。随分と古い。人影。舟を岸に着ける。時に四時二十分。歩いて中に入り管理人と話す。バスの出發時間まであと三十分程。停留所までは、普通に歩いても十分はかかると言ふ。大急ぎで舟を疊み、擔いで歩きださうとすると、丁度バス停の方角から戻つて來て再び出掛けようとする車あり。「どこまで行くんですか」「バス停まで行つて、それからバスで千歳の驛まで行かうと思つてゐるんです」「さうですか。よかつたら乘つて行きませんか」「でも、今向うから戻つて來たばかりでせう。惡いですよ。」「いいえいいんです。晩飯でも食べに、千歳まで出ようかと思つてゐたところなんです。」「さうですか。それぢやあ、お言葉に甘えてさうしようかな。ほんとにすみませんね。」「いいえ、どうせついでですから。」かうして今日も人の情けに助けられた。暖かさに觸れた。 車の中で色々な事を話す。一と月前に會社を止めた横濱の若者。暫くの間、のんびりと旅行をして歩くのだと言ふ。何となく北海道へやつて來たけど、結構寒いし、觀光客も殆どゐないんですね、等とのんきなことを言つてゐる。「どこかいいところありませんか」「今はどこも、ただ寂しいだけですよ。大雪山の方へ行けば、紅葉が見られるかもしれないけど・・・」「さうですか・・・」「今度は夏に是非來て下さい。案内しますから」話してゐるうちに、この人もオートバイが好きだといふことが分かる。北海道へ是非バイクで來たいと言ふ。その時また會へるかも知れぬ・・・人の縁・・・

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