今日は雨・・・こんな日はしつとりと落ち着いた気分で、クラシック音楽を・・・バッハの「チェンバロ協奏曲第二番」とモーツァルトの「交響曲第四十番」を聴きました。バッハの高貴な抒情とモーツァルトの透明な悲愁・・・
-木の舟、鐵の馬 第三部- (9)
(3)午餐
時折、水鳥飛ぶ。右岸に道路と「美々川」の標識。更には、「植苗驛」の標識、前方に橋。くぐり抜けると、左岸に野外料理店の大きな看板。生活の匂ひ・・・行き過ぎようとするが、空腹を思ひ出し、遲い晝食を認めることとす。舟を岸に付け、上陸。ウエットス-ツにカヌ-シュ-ズの私を見て、店の小母さんがびつくりしてゐる。久し振りで人に會つた氣がする。どこから來た?美々橋から。どこへ行く?ウトナイ湖へ。何の爲に?景色を眺めて、のんびりする爲に。川下りの途中で人に出會つたときの典型的な問答。一應わかつたやうな顏はしてゐるが、納得はしてゐない。あんたも變はつた人だねえ、といふやうな表情。いつものことだ。前にも下つて來た人はゐましたか、と聞くと、何人かゐたやうな氣もするが、と誠に曖昧な返事。まあ、よからう。取り敢へず飯だ。もう三時近い。客は誰もゐない。御飯とジンギスカンを頼む。何と、御飯はない、とのこと。困つたな、と言ふと、こげが混ざつてゐてもよかつたらある、と言ふ。それで結構、と私。お金は要らない、おにぎりを作つてやらう、と小母さん達。たつた一人でゆつたりと食事。うまい。ジュウスを飲む。うまい。生き返つたやうな心地がする。矢張り疲れてゐたのだ。暫く寛ぐ。ゴルフの話をしながら入つて來た一團が煩わしい。金を拂ひ、礼を言つて店を出る。危ないところだつた。世間のことは、彼らに任せておかう。