ここ北海道は毎日のやうに雪・・・「奄美大島、115年振りの雪」、といふニュースに驚きました。南北に長い日本列島の地域による天候の違ひをまざまざと実感させられました。皆様いかがお過ごしでせうか。

  「奧の細道」を行く  -木の舟、鐵の馬  第二部-(4)

適當な店はないものかと思ひながら、暫く走つてゐると、とある店先にオートバイ。夕食。面白い店で、さほど大きくもないのに、土産物など結構置いてある。幾つか買ふ。私の話を聞いて、親切な店の主人が、「奧の細道 三百周年記念」の切手を分けてくれる。近くの小學生が手作りしたといふ、可愛らしい版畫の「花暦」も貰ふ。見も知らぬ人の温かい人情・・・暫く、旅とオートバイの話。これだから旅はやめられぬ。宿のあてがないといふと、丁度いい宿を知つゐるので、と早速電話してくれる。空いてゐた。宿がなければ野宿でも(數年前、やはりオートバイで九州を旅したときには、テントを張って十泊程野宿したので慣れてはゐるのだが)、と思つてはゐたが、折角の紹介なので泊まることにした。そのうえ、山の中にあつて分かりづらいところなので、案内してくれると言ふ。有り難し。主人がオフロードのバイクで先導してくれる。丁重に礼を言つて別れる。今度また日光に來ることがあったら、必ず立ち寄つて久闊を叙さう。宿に入る。若い女性が出てくる。ペンションとかいふ、俺にはおよそ不似合ひな洒落た宿だからか、等と考へる。まさか、雪女ややまんばでもあるまい。後で分かったのだが、この人は、この宿の女主人(いや、ペンションのオーナー)の娘さんで、何と、ここから東京の短大に通つてゐるさうだ。オートバイから荷物を降ろし、やうやく落ち着く。もう八時だ。

 風呂に入つたあと、部屋で手帳に覺え書き。家に電話す。互ひに何事もなく過ごしけりと。今日から手稻の實家にゐる由、安心す。布團を敷き、外を眺める。暗し、日光郊外の森の中なれば。「奧の細道」(自分で書き寫したもの)を讀み、その他の本を拾ひ讀みして、明日の計畫を練り、旅の思ひにふける。中々寢つかれず。