【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第55回)
臨海研究所といふやうな建物がある。熊楠関係の施設か、と聊か気になる。木々の生ひ茂る山道(と言ふのも変な海に近い道なのだが)を「本当にこの道なのか。また間違ったんぢゃないんだらうな・・・」と思ひながら走る。狭い坂道を登る。と、急に視界が開け、駐車場が現れる。さうして「南方熊楠記念館」の看板。「おう、あった!ここだ!」記念碑が立ってをり、そこから海が見える。しかし、残念ながら、そこからの景色をゆつくり眺めてゐる時間はない。急ぐ。既に四時半過ぎ、「あと三十分。どうやら間に合った・・・」思ったより小さな建物がそこにひつそりと立ってゐた。「南方熊楠記念館」の文字が読める。しかし、中が暗い。「えっ?まさか・・・」扉に手をかける。開かない。「そんなあ!」入口の表示板を見る。何と無情にもそこに書かれてあったのは「開館は四時半まで。入場は四時まで」との文字・・・「まさかここまで来て、この事態とは・・・」挫(くじ)けさうになる気持ちを奮ひ立たせる。