【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第57回)
 
「南方熊楠の世界」展(特別展示)開催中。通常の展示も含めて、じつくりと見て回る。

   熊楠!思はず叫ぶつひに来た

「和漢三才図会」今、目の前には夢にまで見た原本!これぞ天才熊楠の原点!不世出の博物学者熊楠の原点!熊楠学の一大金字塔!少年熊楠が所蔵者宅を訪れて読み、記憶()して帰っては八、九歳の頃から三年がかりで「筆写」したといふ奇跡の手作り写本!これが見られただけでもここへ来た甲斐があったとさへ思はれる、我が憧れの写本!暫く見つめる。それにしても、実際こんなことが一人の人間に可能なのだらうか・・・現物を目の前にしながら尚も信じられぬ思ひなり。「和漢三才図会」とは、寺島良安の手に成る江戸時代(正徳三年、一七一三年成立)の謂はば百科事典であり、全一〇五巻といふ膨大な書物である。「三才」とは「天、地、人」のことであり、それは取りも直さず世界であり、宇宙、森羅万象に他ならぬ。この世界を宇宙を森羅万象を丸ごと把握せむとした、巨大なるスケールの巨人南方熊楠に如何にも似つかはしい、象徴的な写本であり、一大事業である。柳田国男が「日本人の可能性の極限」と評した異能の天才、異形の巨人南方熊楠が既にここにゐる!ただただ呆然と立ち尽くし見つめるのみ・・・涙が滲む・・・