囲炉裏端から

主として趣味に関わる様々な話題を、折に触れてエッセイや紀行文の形で自由に書いてゆこうと思っています。過去に書いた文章も適宜載せてゆきたいと考えています。

2016年12月

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第34回)
再び門真市に入る。五時五分。二六七,二キロ。聊か道を探すことに疲れる。バイクを止める。

息子に電話す。五時十分。彼女とドライヴに出かけてをり、帰りはかなり遅いとのこと。それでもいい、短時間でもいいんでともかくも会はう、といふことになる。電話で宿を予約す。新大阪ユースホステルへと向かふ。これまた複雑な錯綜した道。何度か道を間違へる。何度か聞く。最後にコンビニで聞く。高校生のアルバイトか。とても親切な男女の店員二人。

息子から電話来る。自分がどこにゐるのかうまく説明できぬ。然し、流石は大阪人、何とかわかってくれる。「そのままそこにゐてくれ。こつちで探して行くから」何とも頼もしい大氣の言葉!「おう、わかった。ここで待ってるわ」やうやく安心す。

暫く待つ。右から来るのか左から来るのか、それすらわからぬ。再び、息子から電話来る。改めて近くの建物、道路、住所表示などを知らせる。「なるほど。わかったわ。もうすぐ着くと思ふわ」何とも頼もしい!息子をこれほど頼もしく思つたことも余りない。と、間もなく右手から、懐かしいジムニーの姿・・・「おう、久し振り!」「どうも。お待ちどほさん」時計を見れば、既に八時半。「今晩は」とにこやかに挨拶するHちゃん。「今晩は。すまないね、こんな遅くに」「いいええ」「取り敢へず宿に荷物を置いて来たいんだがな」「ああ、わかつた」新大阪ユースホステルへと向かふ。今度はすんなりと着く。時に九時丁度。走行距離三0一,一キロ。よく走ったものだ。我ながら感心す。「Hを待たしたらわるいんで急がうや」「ああ、さうだな」

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第33回)
「第八日。七月二十一日(日 )曇り」 

起床七時。流石にまだちょっと眠い。相棒と簡単な打ち合はせをした後、写真を撮る。

出発、八時十五分。スタージスの後について走る。曇ってはゐるが適度に温かく快適なツーリング日和。一路大阪を目指す。

浜名湖サーヴィスエリア(静岡県)。八時四十分~九時半。相棒と旅の思ひ出を語りながら楽しく朝食。本当に世話になった。お陰で助かった。人の情けのありがたさ・・・二十八,0キロ。

刈谷サーヴィスエリア(愛知県)。九時後十五分。九十三,七キロ。暫く休む。

土山サーヴィスエリア(滋賀県)。一時五分~一時五十五分。一七二,一キロ。昼食。再び相棒と旅の思ひ出を語り合ふ。たった一日の縁とは言え中々に名残惜しい。

甲南パーキングエリア(滋賀県)。一時五十七分。一八五,一キロ。手を軽く挙げて相棒が左折して別の道へと別れて行く。軽く左手を挙げて応へる。「さよなら。色々とありがたう!縁があったらまたいつかどこかで会はう・・・」流石にちょっと寂しい。

門真市に入る。三時五十五分。「到頭来たか。ここが息子の住む街か・・・」初めての全く見知らぬ街。然し、感慨深し。二五七,0キロ。

息子の家を探す。住所を頼りに何とか今日中に会ひたいものだと思ひつつ走る。流石は大都会、複雑極まりない、錯綜した道。何度か道を間違へる。一旦他の町へ出る。何度もバイクを止めては地図を調べ、何人かの人に道を聞いたりして、やうやく目的地に近付く。

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第32回) 
エンジンをかける。煙が出すぎだと言はれる。オイルを見ると大分減ってゐる。磐田の街でバイク屋に寄り、補給する。これで一安心なり。相棒はかなりメカに強いやうだ。既にうす暗い。スタージスの後について走る。相棒は時々地図を見ては複雑な道を走る。信じられないやうな地理感覚!来たのは初めてだが、食堂でアルバイトをしたことがあり、出前で慣れてゐるからだと事もなげに言ふ。方向音痴の自分にすれば、殆ど天才的とも思へる異能の持ち主だ。さう言ふと、「いやあ、そんなことないですよ。慣れですよ」と笑ってゐる。世の中には色々な人間がゐるものだ・・・これも旅の楽しみの一つと言ふべきか・・・

八時~八時半、磐田の湯(静岡県)。結構大きくて、きれいなすばらしい温泉。久しぶりでのんびりゆつたりと湯に浸かる。旅の疲れもすつかりとれる。日本はいい!

 九時、ライダーハウス到着。ここに来るまでも随分複雑な道を走った。流石に一度だけ間違へる。しかし、この夜に、初めての道で、ただ一度!ただただその異能に呆れるのみ!自分一人では辿り着けなかったかもしれない。

 荷物を下ろし、付属の飲み屋(じつは逆で飲み屋のオーナーがバイク好きでライダーハウスをやつてゐる。)で夕食。うまい。客は我々二人のみ。バイク、ツーリング話で盛り上がる。相棒は滋賀県出身で東京在住。今回は土日に親元へ里帰りするのださうだ。途中まで一緒に走つて案内してくれることになる。願ってもない話なり。本当に幸運なり。走行距離三0六,六キロ。

 十二時、就寝。流石に疲れをる。すぐに眠る。

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第31回)
 
二時四十五分~三時五分、足柄サーヴィスエリア(静岡県)で一休み。走行一三一,八キロ。 

三時四十分~四時二十五分、富士川サーヴィスエリア(静岡県)で一休み。一七七,五キロ。 

  小鳥のさへづり我を迎へ富士見えず

  富士見えず次なる日こそ相見(まみ)えむ

  まぼろしの富士に言葉をかけにけり

六時二十分~、牧之原サーヴィスエリア(静岡県)で一休み。ここまで二四二,五キロ。 「さて、そろそろ出かけるか」と思ってゐるところへ、隣に停まってゐたハーレー(スタージス)のライダーがやつて来る。「こんちは」「こんちは」「どこから来たんですか」どちらからともなく、極自然に旅の話になる。北海道から来たと言ふと、驚いてゐる。今回の旅ではどこでも驚かれた。この真夏の暑い盛りに、物好きにもわざわざ内地へ来る北海道のライダーといふのは、かなり稀少価値のある存在らしい。内地のライダーはこの時とばかりに、涼しくて快適な、「憧れの北海道」へと旅に出るといふのに、何故敢て・・・この旅の間中、何回も繰り返された説明をする。「還暦を記念して、先祖のルーツである四国へ向かってゐるんです。その途中で、娘と息子の住む長岡と門真、それから友達のゐる東京にも寄って行くつもりなんです」といふやうな説明を。さうして、これまた何度も繰り返された驚きの反応・・・「すごいですね!一体、何日走るんですか。」「多分、二週間くらゐだとは思ひますが、まあ、あてもなくのんびりといふ感じなんでどうなるものか・・・」「いいですね。羨ましいです。それにしても若いですね!一人でそんなロングツーリングをするなんて・・・」今日はこれからどうするのか、といふ話になる。新所が原のビジネスホテルを予約してるんだが、その近くにいい温泉はないか、といふと、それはわからないが、自分は磐田の湯といふ温泉に近いライダーハウスに泊まる予定だといふ。一泊六千円のビジネスホテルに対して、ライダーハウスは何と千円。ライダーハウスに電話で空きを確認してももらつた後、ビジネスホテルをキャンセルする。

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第30回)
「第七日。七月二十日(金 )曇り」 

起床七時。シャワーに入る。すつきりする。旅の疲れも大分とれたやうだ。間もなく、奥さんは仕事へ。丁寧にお礼を述べる。

朝食。Aと話す。本当に友達とはいいものだ!ありがたいものだ!

朝の行。読書。荷物を積み込む。「色々とありがたう」「うん。気を付けてな」「うん。それじゃ、

そろそろ行くわ」「おお」エンジンをかける。調子よし。Aが見送つてくれる。

 

出発十時十分。何度か迷った末、やうやく東名高速道に入る。

十二時五十五分~二時五分、海老名サーヴィスエリアで一休み。ここまで八十三、二キロ。 楽しみにしてゐた富士山は、生憎の曇り空に隠されて見えない。残念なり。

  久しぶりの蝉しぐれ富士はいづこに

浜名湖付近のビジネスホテルを予約す。これで一安心なり。

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