囲炉裏端から

主として趣味に関わる様々な話題を、折に触れてエッセイや紀行文の形で自由に書いてゆこうと思っています。過去に書いた文章も適宜載せてゆきたいと考えています。

2017年02月

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第50回)
熊野古道の看板見ゆ。「熊楠さん!あなたの愛してやまなかつた熊野へと繋がる道がこんなところに・・・」感慨深し。バイクを止め、如何にも由緒ありげな古い街並みを暫し歩く。時折立ち止まって家並みを眺める。心が静かに落ち着いて行く。

    蝉しぐれ先祖の御魂の蝉しぐれ                 

町役場に行き、話を聞く、調べる(十時二十分~十時五十分頃)役場の人によれば、この町には「湯淺さん」は余りゐないと言ふ。意外な気がする。「北海道の札幌から湯淺家のルーツを尋ねてバイクでやつて来ました」と言ふと驚いてゐる。暑くなって来た。

役場のすぐ側にある、その名も「湯淺食堂」といふ小さな町食堂で昼食(十時五十分頃~十一時半頃) ここでも「北海道の札幌から湯淺家のルーツを尋ねてバイクで来ました」と言ふと驚いてゐる。関心してゐる。「まぐろ造り定食」を食べる。いとも美味し。色々と話してゐると、何と店のおかみさんがお土産に蜜柑を二つもくれる。ありがたし!一つを早速食べる。瑞々しく新鮮で本当に美味い!「ありがたうございます。ご馳走様でした」旅の情けが身に沁みる。

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第49回)
「第十一日。七月二十四日(水 )くもり」 

 

起床七時。朝の行、読書。「調子」吹く。

八時四十一分、出発。先づは、この旅の大きな目的の一つたる「湯淺町」を目指し、四十二

号線をひたすら南下する。途中、海南市仁義、有田市里、同じく野といふ印象的で珍しい地名に次々と出会ふ。和歌山県は面白地名の宝庫か・・・いつしか湯淺町に入る。「終に来た!いよいよ湯淺町だ!」何か不思議な気がする。

九時五十二分、湯淺町「湯淺」といふ交差点の表示が目に入る。「おお!湯淺町湯淺!」思はず叫ぶ。信号機の真下にバイクを止め、つくづくと眺める。日本の各地で地名と人名は固く結びついてゐる。どちらかがどちらかの元になってゐることはさほど珍しくない。それは自分もよく知ってゐる。しかし、それでもなほ湯淺の姓を持つ自分にとつて、この「湯淺」といふ文字は極めて鮮烈な印象を持って迫って来る。写真を撮る。ここまで三十六、三キロ。

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第48回)
「もう四国にゐてもしょうがない。もし時間に間に合って、フェリーに乗れたら本州に渡ってしまはう」徳島フェリー乗り場を目指してひた走る。渋滞知らずのバイクがありがたい。乗り場に着いたのは六時五十三分。係員に聞くと、まだ間に合ふとのこと。ありがたし。すぐに手続きし。そのまま乗り込む。メーターを見ればは二一〇、七キロ。出航は七時丁度!「ふうう・・・何とか間に合ったか。それにしてもよく間に合ったもんだ・・・」安心した途端、どっと疲れが出る。

七時過ぎ、父に電話す。例によって心配してゐたとのこと。安心しをる。

家族へのメールを書く。間違って未完のまま送信す。やはり疲れてゐるのか・・・

九時十五分、和歌山港着。もう暗い。バイクで走り回るのは危険だ。ターミナルでできるだけ近い宿を探して予約してもらふ。暗い上に初めての町、何回か道を尋ねる。

九時四十五分、タウンホテル丸の内着。本日の走行距離二一三、九キロ。荷物を下ろす。

部屋に入りほつとする。入浴。さつぱりする。疲れも大分とれる。荷物を片付ける。

十一時過ぎ、家族全員に正式のメールを送る。「出発してから今日で十日。今回の旅もいよいよ終盤。ますます気を付けて走らねば・・・」様々なること思ひ、旅心深まる。

「調子」吹く。「これでやうやく今日が終はる。それにしても長い一日だった・・・」

十二時近く、就寝。

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第47回)
「次はどこへ行かうか。もう余り時間もないことだし・・・」行きがけに見られなかった鳴門の渦潮がどうしても気になる。その日最後の渦潮は確か五時か六時かだったやうな気がしたが・・・取り敢へず行ってみることにする。間に合へばよし。間に合はなければ、もう一度あのユースホステルに泊るか、フェリーがあればそれに乗るか、それはその時で・・・一路徳島を目指しひた走る。時折渋滞気味なれど、バイクのがありがたさ、殆どロスなし。

鳴門公園に着く(十七時四十五分)人誰もをらず。車なし。「こりゃもう終ったんだな・・・」

念の為、小高い見晴らしのいい場所へ行ってみる。海が大きく大きくゆつくりと渦を巻いてゐる。「おおっ!これが渦潮か。渦潮の名残か・・・」思はず叫ぶ。暫く見とれる。名残でさへこれほどならば、実際に渦巻いてゐる時はどれほど雄大なものなのか・・・「またいつの日か必ず見に来よう」不思議と悔しさはない。「やるだけのことはやってみた。二回来て二回とも見れなかったといふことは、今回は縁がなかつたといふことなんだらう・・・」

   渦の名残の悠然と流れをり

【還暦記念ツーリング。本州・四国の旅】(第46回)
道の駅もみぢ川温泉にて昼食(十三時四十五分~十四時二十五分)

半ば川に張り出した静かなレストラン。川を眺めながら、ゆつたりと郷土料理を味はふ。美味い!あの道をやうやく通り抜けて来ただけに一入(ひとしほ)その感が深い。

  誰も知らぬ山道を一人あやうくも

地図を眺め、次の目的地への道を確認する。再び山道へと入る。二度道を間違へ、その都度道路工事の工夫に聞く。殆ど人にも車に会はず。「また道を間違へたのか・・・」かなり心細い。何度かバイクを止め、地図を出して確かめる。突如、トンネルが現れる。何と今時極めて珍しい手彫りのトンネル!「これだ!間違ひない!これを抜ければ大釜の滝だ!」狭い上に上り坂。逸る心を抑へて、慎重にトンネルを抜ける。

大釜の滝(十四時五十七分~十五時十五分) ここまで九十七、八キロ。

神の滝のとどろきすさまじく

その底に棲む大蛇よ還暦の我を守らせたまへ

「さて、そろそろ人里に向かはうか」ひたすら一九三号線を北上し、四時丁度四三八号線にぶつかる。(ここまで九十七、八キロ)なにかほっとする。余りにも人の気配がなさ過ぎた・・・

やうやく人里に下りた一休み

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